千葉市
気持ちの表現が苦手・うまくコミュニケーションを取れない子に……ルール教え、ほめて伸ばす学習塾
自分の気持ちを表現することが苦手だったり、うまくコミュニケーションを取れなかったりする子どもたちでも、人と一緒に練習を積み重ねていけば、必ず変わっていくことができます。発達障害や知的障害のある子どもたちが、コミュニケーションの取り方を訓練できる学習塾があります。
コミュニケーションの取り方を訓練
「あなたはかき氷を食べています。『でも』でつながる文章を考えて」
コミュニケーション学習塾「ジョブサU18」では、接続詞に続く文章を作ってスピーチの練習をします。東京都立川市の立川南口教室に通う高1の大塚竜輝さん(16)は、「でも、食べ終わったあとのゴミ箱までの距離は500メートル以上あります」と答えました。接続詞は「つまり」「そして」と、次々と与えられ、文章を作っていきます。
ジョブサでは、自分の気持ちを表現する方法や、周りの人とのコミュニケーションの取り方を、五つの段階に分けて訓練します。周りの状況を把握し、話したい内容を文章にします。その文章を、さらに会話を考えて適した言葉に置き換えます。相手の反応を想像してから、勇気を出して話します……。
集団ルールも学ぶ
大塚さんは小さいときから、電車の名前や聞いた話をすぐに覚え、一度聞いた曲をそのままピアノで演奏できました。ただ、自分の気持ちを言葉で表現することは苦手でした。中学はフリースクールに通って1対1で学び、同世代の子との交流はあまりありませんでした。今も習い続けるピアノの先生の勧めもあり、昨年6月からジョブサに通っています。高校は、自分のスタイルに合わせて登校日数を選べる通信制の学校に進みました。
授業はまず、体操で身体をほぐし、声を出す練習から始めます。グループで学習し、カードゲームなどの遊びを通して、集団ルールも学びます。大塚さんはジョブサに通うようになってから、家で初めて友だちの話をするようになりました。困ったことも口に出せるようになってきました。「気持ちが落ち着いてきた。滑舌も良くなった」と笑って話してくれました。
「成長する力を必ず持っている」
運営する「ロクマル」(本社・東京都千代田区)は現在、札幌市から千葉県船橋市や千葉市など全国10カ所でこうした塾を展開しています。うまく会話ができずにいじめられるなど、傷ついた経験を持っている生徒が多く、少人数のグループで勉強することで、安心して話ができる環境を作ることを心がけています。一方的に自分の話ばかりしてしまう子には、「人が話すときは待つ」というルールを伝え、待てたときにはその都度ほめます。ほめられる経験が増えると、自分の番を待てるようになるといいます。
高倉秀穂社長(48)は「ダメだと指導するのではなく、先生が笑顔で話を聞くことで、子どもの心が満たされて余裕が出来てきます」と話します。
コミュニケーション力が伸びれば、学習や就労支援にもつながります。「子どもは成長する力を必ず持っています。ただ、スピードに差があるだけ。ゆっくりでも良いんだという安心感を与えたいです」
【お知らせ】トークイベントを開きます
10代のハッタツ・トーク!センパイ当事者3人の『ワタシ』的生き方
11月10日(土)14時より、朝日新聞メディアラボ渋谷分室で発達障害がある10代の方々を対象にトークイベントを開催します。
「学校生活・友人関係がうまくいかない」「親とどうしても通じ合えない」「このまま生きていって、進路やその先の生活は大丈夫だろうか」など不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
発達障害の当事者であり、現在自分らしく生きていらっしゃる以下3名のゲストをお招きします。
・動画やSNSなどで発達障害について発信している Ayanoさん
・15歳で「HORIZON LABO」を始めたコーヒー焙煎士 岩野響さん
・NPO法人AVENGE OF MISFITS 代表理事 池田誠さん
発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」さまとの共催です。
当日は、発達ナビさまのYouTubeチャンネルで生配信をして、ご来場が難しい方々にも内容をお届けする予定です。詳細は、発達ナビさまのサイト(https://h-navi.jp/column/article/35027111)をご覧ください。
◇ ◇ ◇
【#withyou ~きみとともに~】
withnewsでは、生きづらさを抱える10代に向けた企画「#withyou」を続けています。いろんな生き方、いろんな相談先があります。「#きみとともに」もつけてツイッター(@withnewsjp)などで発信しているので、みなさんの生きづらさも聞かせてください。